竹原あき子 Takehara, Akiko
工業デザイナー。1940年静岡県浜松市生まれ。64年千葉大学卒業。
同年キヤノンカメラ入社。68年渡仏。73年帰国後、75年度から2010年度まで和光大学教授。
主な著書に『立ちどまってデザイン』(鹿島出版会)、『魅せられてプラスチック』『パリの職人』『縞のミステリー』(以上、光人社)、
主な訳書に『シミュラークルとシミュレーション』(J. ボードリヤール、法政大学出版局)、
主な監修に『カラー版 日本デザイン史』(美術出版社)。
新刊「原発大国とモナリザ」紹介
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
巨大な中央集権的官僚主義と、利権企業団体が原発を取り巻くフランスと日本。社会党政権になっても原子力発電を継続し、エネルギー政策に異議を唱える環境大臣をすでに2名も解任した。「モナリザ」を筆頭にルーブル収蔵の美術品貸与の見返りに原子炉と核燃料ウランを売り、使用済み燃料処理までをビジネスとし、日本企業と手を組んで中規模出力の原子炉をアジア、アフリカ、中近東にまで輸出をもくろむフランス。だがもう一方で、ドイツの「エネルギー転換」に学びながら再生可能エネルギーの生産にも意欲を燃やす。大型原発には問題がありすぎると認識した2007年から、フランスの原発産業は再生可能エネルギー大国をめざして挑戦しはじめた。原発と再生可能エネルギーの両輪“アレバ・リニューアブル”が廻り始めているのだ。本書は、原発大国フランスのエネルギー戦略の現状とその転換の実態をルポする。
【目次】(「BOOK」データベースより)
濃縮ウランの後ろで/やめられない原発ー“成功のモデルはネスプレッソよ”/原発大国フランスのエネルギー戦略/ヨーロッパの不安/フランスの原発は未来への階段か/ヨーロッパは共同でエネルギーに立ち向かう/ドイツに学んだ「エネルギー転換」/環境大臣バトーの栄光と挫折/パリとベルリンが手を結ぶ/フランスの再生可能エネルギー政策/「太陽のトンネル」を緑の列車が走る/元空軍基地とメガソーラ/海外技術とのバランスが背景に/若い企業が挑む発電/パリとリヨンのエコ・カルチエ/国を越えるウランの支配
【著者情報】(「BOOK」データベースより)
竹原あき子(タケハラアキコ)
1940年静岡県浜松市笠井町生まれ。工業デザイナー。1964年千葉大学工学部工業意匠学科卒業。1964年キャノンカメラ株式会社デザイン課勤務。1968年フランス政府給費留学生として渡仏。1968年フランス、Ecole nationale superieure des Arts D´ecoratifs。1969年パリ、Thecnesデザイン事務所勤務。1970年フランス、パリInstitut d’Environnement。1972年フランス、Ecole Praique des Hautes Etudes。1973年武蔵野美術大学基礎デザイン学科でデザイン論を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
「フランスの原発政策と
ドイツに学んだエネルギー転換」
講師 竹原あき子さん 2014/2/9(都知事選投票の日)(以下田島昭泉要旨文字起こし)
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【映画を見ているようだった3.11】
◆秩父の皆さん。反原発御苦労さん!
とても心強い皆さんにお目にかかれて、とても嬉しい、いい天気の日(実は大雪第一陣)になりました。
こんなに素晴らしいドライブというのも滅多にない。行く先行く先真っ白。雪って欠点を隠すんですね。女の化粧とおんなじでしょうけど。原発も同じように放射能は見えない、臭いもない。原発の化粧を取れば、すっぴんのままでこんなに危険な物はない。
私は本当は工業デザイナーなんです。キャノンカメラでレンズとかプロジェクターのデザインをしていました。ある日会社を飛び出してフランスへ留学生としてゆき、5年間向こうで暮らして。で、行ったり来たり。
大学の先生というのは春休み夏休みがあって、ほとんど2ヶ月はお休み。授業が終わったら飛行場からパリを目指すというずるい生活。おかげでフランス語がちょっとだけ上手になりました。
◆私の工業デザイナーとしては関係の無い原発についての本をなぜ出したのか。フランスはよく見ていると原発大国なんだけど、サイドビジネスとして再生可能エネルギーに莫大な予算を使っていると言う事が見えてきたんです。
でも、3.11が無かったら、私はそれをちゃんと研究しようとは思わなかった。私は3.11の時フランスにいた。3月17日が私の定年退職の最後を飾る卒業式だったんです。それに間に合うように切符を買ってあった。ところが3.11が起こって、映画を見ているのかと思うようだった。でも映画じゃぁない。
【3.11の海外報道との違い】
◆しばらくしているうちにどうもおかしい。フランスには国営チャンネルが4つもあるんですが、ニュース番組の2時間から4時間がフクシマ特番。毎日よ!
で、それを聞いていると関東地方も危ないって言ってるの。その証拠はと、見させられた映像は東京のフランス大使館の人が窓の所にテープで目張りをしているの。この様にしてフランス大使館は外からの放射能を防いでいますよと。私は東京が放射能の中にあるのかと思って、とても緊張したわけ。
そして日本に住んでいるフランス人に対して、できれば最短距離で神戸・大阪まで行って下さいと。一番いいのは子どもだったら沖縄が安全地帯ですと言ってたんです。こんな状態で日本大丈夫なのと。
そしてその内、原子力発電の専門家で学者の二人、現場の二人がでて、解説を始めた。映し出された映像がなんと福島第一原発の断面図、部品図、詳細な図。彼らは今こうなっています、これから予想されるのがこうですと。
◆何でフランスのテレビ局にそんな図面があるの?
すぐわかったのはアレバという原発会社が東電などの日本の原発と提携していて核燃料を売っている。そのために百人に近いアレバ職員が東京で働いている。
日本はフランスの原発産業にとって良いお得意さんだった。だから詳細にわたって福島の原子炉のことが解っていたの。
日本人の私達だけが、あの原子炉の中で何が起こっているのか解らなかった。
◆一番最初に爆発した第三号機の時にはなんて言ったと思う? 日本の報道とは全く違う。
水素爆発って水素ができて爆発したとしか思わないけど、あそこに居るエンジニアはたまってくる水素の自然の爆発を防ぐために、それよりも小さな被害で済むためには、原子炉の中にわざわざ水素を注入して、人工的に爆発させたと。そういう説明をするんです。
どこにも証拠はないから人工的にやったのか、ホントにたまった水素で爆発したのか解らりません。しかしフランスの原発の人は福島の原発のことをそこまで詳しく知っていたんです。
【日本は日本人に警報を出さなかった】
で、その日から一週間心配で東京に電話したら「たいしたことないわよ。ひどい揺れだったけども」と言うんです。「だけど東京に降る雨危険じゃなかったの?」と聞くと「そんな警告無かったよ」と。
「水飲んだの?」と聞いたら「当たり前に飲んでるよ」って言うの。
◆フランスの大使館では日本に住む子どもには「水飲むな」と警告した。そして大量のミネラルウォーターのボトルをフランス人の子どもや学校に向けてトラックで運んだ。外に出るときは服は全部ふさがるような物で、家に入るときには埃を払って入りなさいと、微に入り細に入り注意した。関東地方のフランス人にはその様な手配は済んでいた。日本ではそんなことしなかった。福島でさえ最初の二日間はしなかったんですよね。何でこの(フランスの)人達は知っているのかと思いました。
◆私は3月17日の飛行機だったが、安いチケットなので変更など利かない物なのに、その二日前にあなたのチケットは3ヶ月間先まで変更できますと連絡があった。「そんなに急いで日本に帰らなくてもよい」と。それだけエアーフランスが乗客に向けて帰るなと言っていた。でも私は早く帰りたかったのでその飛行機に乗った。でもその前の日に連絡があって、その飛行機は4時間早く出ますので早く来なさいと言われたんです。
で、乗ってからの機内放送で、「この飛行機は成田では止まりません」ていうの。「ソウルで一度乗り換えていただきます」と。「なぜ?」と聞いたら、「あれだけ降った放射能の中に私達クルーが滞在するわけにはいかない」と。そのくらい日本は危険だったんです。
◆日本に帰ってきて、耳に聞こえるテレビだって放送ではフランスでやっている十分の一の警戒なんです。信じがたいことで、これ何なのって。
そのうちドイツに住んでいる日本人の方の記事を読んでいたら、福島の四号機の炉の中に18人のフランス人ドイツ人アメリカ人の混合のエンジニア達が、あの炉の中で震災を体験した。何のために炉の中にいたかというと11日の日は12日に予定されている、第四号機の壁に、もしかしたらあるかも知れない「亀裂」を測るための自動機械の設置に来ていた。そして、12日のプレゼンテーションのための予備の調査をしていた。その最中にゆれたわけ。18人のうちの4人がドイツ人だったの。その人達は四号機が爆発しないための措置をして避難したというの。13日の夕方までには40Km圏の外に出ました。そして、15日までにドイツのエンジニア達はフランクフルトに帰還しました。
私はアレバジャパンのフランス語のホームページを開きました。読むと(フランスの対応は)全く正しくって、私達エンジニアに何の被害もなかったことは大変喜ばしいと書いてあったんです。つまり国内(日本)にいる私達だけが、その危険を何も知らされずに普通に水を飲んで普通に外で息をしていたんですね。地上を歩くと皆口に入ってきたと言う事。3.11以後私達はそんな生活を送ってきたんです。放射能に県境はないですしね。今でも大量に降っていると思ってください。今も恐いと思ってください。
【フランスの原発】
◆フランスは日本より多い58基が稼働中です。日本の原発は海に沿っています。それは冷やすための水がないとダメだからです。ところがフランスの場合、海沿いにあるのは5カ所だけなんです。あとは最大の水流のローヌ川。ガロンヌ川、ビエンヌ川に一基。ロワール川に3基とほとんどが川沿いなの。私達の国は地震が無いから福島のような事故はこらないと言うんです。でも実はフランス人ですら知らない事故や事故寸前のことが何度も起こっているんです。それは彼らの原発が川に面しているからなの。夏の川の水温が上がる。しかも水量が下がる。特に南のローヌ川の原発は暑い夏の度に冷却温度にできないので半分以上が停止状態なんです。フランスにとって恐いのは地震じゃなくて、水温の上がる温暖化なのよ。地球の温度が4度上がったらこれ(川沿いの原発)全部ダメになる。それが解っているんです。やつらは!
◆もう一つ解っているのは、もうこれ以上新しい原発を造ることはできないと言う事。
これも奴らはよく知っている。オランドはなんとか大統領になったけれども、最終的には左翼とグリーンのメンバーと手を組んでやっと大統領になったんだから。フッセンハイムというドイツの国境にある原発はライン川に沿ってある。これも廃炉にしますと公約を言っておいて大統領になったんですが、大統領につくと態度ががらっと変わっています。やめるのかなぁと見せかけてやる。
◆複雑なのは日本は海に囲まれて原発政策は周りの国からとやかくは言われませんが、フランスは国にも囲まれている。ドイツは脱原発の国。ベルギーも2基ありますが無くすと言う事が決まっています。ルクセンブルグもありません。スイスは原発もっているけど、もうこれ以上造らないことに決めました。しかもイタリアというあの恐がり屋の国民がいる。たとえばドイツ軍は進撃と言えばすぐ行くのがドイツ。イタリア軍は進撃というとママ!と言うんだって。そのイタリアで国民投票やって原発NOとなった。周りには原発推進という国はひとつも無い。いつ止めてくれるのと周りから冷たい目で見られている。チェルノブイリですら(放射能が)来たんですからフランスで事故になればヨーロッパ中に来るのはわかりきっている。
【イギリスの原発のやり方】
◆唯一原発を推進している国は?
あの島、アングロサクソンの国イギリス。イギリスだけは国民投票もやってないけど原発推進。だけど、あいつらもなかなか巧妙!。政府の直轄の会社には原発なんかは造らせないの。危険なリスクは回避すると言う事。リスクを分散している。つまりフランスとドイツに造らせて、ほんの少しイギリスのお金を入れて、多国的企業を三つに割るわけ。被害は三分の一に済むわけ。それをずっとやってきたが、最近ドイツがひいた。そこで三菱重工さぁーんって、声をかけた。イギリスにはグレートブリテンとスコットランドとアイランドの三つの国が団子になったと思って下さい。それぞれ州法があって政策が違う。スコットランドが原発はNOと言いだした。そのスコットランドが金を出している原発から手をひいたので、次に日立さぁーんと声をかけた。三菱と日立がイギリスの原発の大資本となっています。事故が起こったら会社がある国が補償して下さいねとなっている。被害があったらその分は私達日本の税金が使われることになるんです。
【補償は誰がするの?】
◆日立さんは保険をどこにかけているの? もしなんかあったらお金無いから日本政府よろしくと補填をすることになってます。日本がこれから原発を輸出しようとしているトルコ、ベトナム、アフリカ。安倍が自ら外交して売ってこようとやっているけど、その時にどんな契約を結んだかは報告しなきゃいけないのにしていない。事故の時の保険はどうゆう風にしますかということにどう答えてきたか。私達は知る権利がある。なぜ安倍があんなにも原発外交に走るかというと・・・。ひとつフランスには手痛い敗北があった。それはフランス国内の58基の原発は25年後には廃炉にしなくてはいけない。それをしないためには40年という寿命を65年までと引き延ばすという政府の方針に対し、日本も正直言って25年。それにしても、もう新しい原発を造ることはできない。フクシマは大きなインパクトを残したんです。
◆ここにあるフランスが最後に望みをかけた巨大な原発。EPRと言う名前です。福島の原発の4倍5倍の発電をひとつでしてしまおうという物なんです。それが2005年に設計が終わって、ノルウェーに一個売って、フランス国内に一個造って、イギリスにも一応契約の話がまとまったかなと言う物が一個あるんです。ところが最初からつまずいていて、2007年に設計に重大なミスがあることが解ったんです。2010年に稼働という約束がずれたの。ノルウェーが2010年をずれこんだら賠償しなければいけない契約だったんです。でもそれを造ることがフランスの原発産業にとっての救いだったから2015年と言いながらも2016年が稼働かなとなってます。
◆その唯一のEPRが稼働してないうちにアラブ諸国に売りに出たの。石油産油国も石油の次は原発ねと。アレバの社長とフランス電力の社長と何十人かのロビィをつれて行った。アラブ首長国連邦に行って各国がプレゼンテーションした。フランスアレバには三菱がついてきました。アメリカの企業と言えば日立が当然GEと組んで、これに東芝がウスティングハウスと組んで行った。そして第3の国が韓国。この3つが候補に残った。フランスは植民地時代に支配した国でしょ。だから当然フランスがちょと高い値段を言っても俺たちが勝つと自信を持っていた。何ヶ月か後に結果が出て、なんと勝ったのは韓国だった。韓国が一国でアラブの大きな原発を受注してしまったんですね。値段はフランスと三菱の原発の半分の値段だった。安いんだから負けたんだよと言っていたのだけど、実はそうじゃなかったの。
【日本の原発営業外交とモナリザ】
◆アラブはなぜ韓国を選んだかというと、そのプレゼンの日に韓国の大統領が自ら乗り込んで「是非私達に受注して下さい。成功したら65年間、万が一原発に事故が起こって予定通りの収入がなかったら、その補償は韓国政府が致します。」というプレゼンをやっちゃったの! つまり何が何でも受注したいために65年間も補償すると言ったわけ。たった一回事故が起こったらどうなるか。で、それを知った日本政府は三菱重工がアレバと行くときに「安倍! お前もいけ」と。ベトナムに行け、トルコに行け、アフリカに行けという外交をやっているわけ。こんなことって全く許されないこと。私達のふところを当てにして外国に原発を売りに行ってるのよ。日本には原発できないよ! 誰が引き受けますか? 日本中どこだって、そんなの解っている。だからといってこんな恥ずかしい契約で売って良い分けないでしょ。
◆3.11で原発事故が起こって日本は二度と原発の再稼働は無いだろうというのが世界中の観測だったの。(大飯の)原発が再稼働したとき、どの国もあきれた。なんと言う事が起こるんだいと。
ルモンドというフランスの新聞があって、発行部数は4万部いきません。とりあえず信用のある全国紙の新聞。3ヶ月分のフクシマに関する新聞記事ですが、原子炉の中はどうなっているかとか。その中に入ったときの写真とか。市長と東電がどんな様な契約をしていたかとか。世界中で心配しているのが「海洋汚染」で、2週間に一回はヨーロッパで記事になっています。これらは日本で言えば朝日新聞から受ける情報以上の情報が、どこからこんなに解るのと言うほど、きちっと出てくる。フランスで道を歩いていると日本の原発どうなってますかと聞かれます。海洋汚染に対してはもう許されませんねというところまで言ってくる。魚は国境で止めるわけにはいかない。だから私は「どこの魚を食べてますか」と、いつも聞かれる。なるべくノルウェー産にしますと冗談を言いますけど、北に水が行かないわけがないです。
◆今では世界で原発を売りたいとその先端を行くのが三菱、東芝、日立。この三社が原発を売りたくって仕方が無い。でもなぜこんな風になったかというと1972年から73年の石油ショック。それが原因であることは確かなことです。で、この本のタイトルが「原発大国フランスとモナリザ」ってなってます。このモナリザが日本の原子力政策を決定的に変えてしまったという笑うに笑えない、泣きたい話なんです。石油の値段はヨーロッパの元締めが値段を決めるのではなくて、アラブ諸国の産油国が自分たちで値段を決めるよと言うと、あっという間に石油の値段が2倍3倍に跳ね上がって、アメリカも困ったしヨーロッパも困った。日本も特に資源の乏しい国だから、どうやったら安定的にエネルギーが供給されるだろうかと悩んでいた時なんですね。世界中が原発でやろうと決めたのは石油ショックが原因だったんです。
◆その時の首相が田中角栄だったの。エネルギー外交という名前で真紀子さんを秘書としてお連れになって、ヨーロッパ3カ国、イギリス、ドイツ、フランスを訪ねた。エネルギーはどうやったらよいかと相談に行くのよ。イギリスではいい返事がなかった。ドイツでも良い意見もなかった。フランスに着いたとき、にこやかに二人を迎えたのがポンピドー。ポンピドーは「条件があるが、私達のフランスから(当時日本は原発製造したアメリカだけから買っていた)核燃料を買ってくれませんか?」「一年間で1千トンのウラニウムを日本が買ってくれたら、その条件として門外不出のモナリザの絵を日本にお貸ししますよ」と言ったの。その場で田中は「よっしゃ」と誰とも相談せずに決めた。一杯いる随行員もこんな大切なことを決めちゃってと騒いだが後の祭り。上野の森の美術館で150万人だよ見に来た日本人が。長い列で、日本中が涌いたの。だけど私達は裏で原発とかウラン燃料が取引されているなんて誰も知らない。外交としたらこんなにいいルアー(モナリザ)に日本が、がぶりついていてしまったんですよ。
【フランスの核武装とモナリザ】
◆でもねこれは二回目のルアーだったの。第二次大戦で連合国のヨーロッパが勝利したのはアメリカのおかげ。だからフランスにも14カ所もアメリカの駐留基地があったの。フランス人は誇り高くて、本当のフランスの独立を求め、当時ドゴールはアメリカの支配する世界にはいたくないと国連を出ました。ドゴールはアメリカの空軍基地を閉鎖すると言って、ひとつずつ潰していった。アメリカ軍はそれでもスイスに残り、ドイツにも残った。ドイツには今でもある。ドゴールはアメリカと同等にならないといけないと核弾頭の載ったミサイルを配置することを考えた。でもそれはアメリカにとっては目の上のたんこぶになるだろうと、国際機関も認めないだろうと。国連ではそのまま真っ正面で核武装を言うと否決されるだろうと。だから裏からアメリカの暗黙の了解を得ようとドゴールは画策。ドゴールの腹心の文科大臣アンドレマルローに当時大統領になったばかりのケネディとそのジャクリーヌ夫人をフランスに招き、その接待を申しつけた。ドゴールは「ジャクリーヌを落とせ」と命じた。ジャクリーヌの気持ちをつかんだアンドレマルローはフランスが核武装をすることを内々に伝えておいて下さいと言い、そして、モナリザが初めて海外に出ることになった。1958年(昭和33年)の展覧会の開会式の時に、頃合いを見てフランスではドゴールが「国民の皆さん、フランスは核武装の配備を終了しました」と宣言した。つまりフランスは核武装するためにモナリザは海を越えた。核燃料を日本に売るためにモナリザは海を越えたの。
フランスってそういう知恵者のいる国なの。
◆2013年の夏にフランスに行ったときにアルセと言うテレビ局があるんですが、それ見ていたら「フクシマから2年」というタイトルだった。ひとつ驚くべきシーンを見せられた。菅総理がぐったりした姿で出てくるの。「あの日僕が知ったのは東電は日本の政府も操縦できない組織で、まるで戦前の軍隊みたいなところだった」としゃぁしゃぁとフランス人のインタビューに言ってるの。確かにそうだったかも知れないけど、あのていたらくを見れば。東電の上には国際金融機構という資本家の塊がある。今の全世界のエネルギーに関しての利権を持っているの。そのトップにいるのがロスチャイルドです。ロスチャイルドのもっているウラニウム開発を見てみると、お金がどう入ってどう使われてと、それが世界の何を動かすのかが解るのです。
【2007年は原発ルネッサンス】
◆2007年、世界中が一緒に「原発ルネッサンス」という言葉を使ったんですが、、、。その2007年にアメリカがブッシュ、オバマとつなぐときに、原子力発電所を国内で造っても良いよとコメントしたんです。だけどウエスティングハウスとGEがお金も無くてダメになってた。それを日本の企業が資本を出してアメリカの原発産業を救ったんです。2007年です。ゴアという副大統領がいて、彼は「不都合な真実」という映画を作って世界中に見せた。温暖化が始まると大変なことが起こるよと。氷山の上にいたシロクマが落ちてきて泣かせた。その映画というのは何の為なの?ホントに温暖化を心配した映画でも何でも無かったの。co2はダメだからco2を出さない原発にしましょうという映画だったんですよ。ゴアに取ってみれば原発はクリーンなのよ、救いなのよと莫大な予算使って作った。彼の奥さんや家族が原発メーカーの人達だったの。たぶん株も沢山もっていたのよ。彼の家族の資産を増大させるために原発の再開が彼にとっての最大の倫理だったの。それが2007年のこと。そこで日本の原発メーカーが資本を出し、さらにウラニウム鉱山も買うの。原発産業には元気がない。だけど今、手放したら損が返ってくるから、その分を取り戻してからと買うわけ。ババ抜きって知ってますよね。最後にババを引いた人が全部、損するわけでしょ。原発はババなのよ。そのババを2007年以来、日本は引き続けているの。世界から見ればなんてかわいこちゃん。日本以外の経済のためにこれだけ貢献しいてる国はない。
【フランスの巨大利益を支える日本】
◆フランスの大統領が日本に来て何とかしましょうと言ったのは核燃料を買い続けて欲しいから。なぜ再稼働がフランスにとって救いの神なのかというと・・・。こういう事があったの。2011年の5月まではアレバは女性社長だったの。原発アンヌと言われた強気の女性。10年間もやってた。その原発アンヌが「原発で儲けるってね、炉を造ったり建設することではないのよ。ネスプレッソと言うコーヒーメーカーのカプセルを売ることなのよ」つまり、原発造ることより燃料を売り続けてたほうが儲かると言う事。プリンターは安く売ってインクは高く売り続けられる事と同じ。原発ってそれが商売なのよ。
核燃料って一本1500万円。それが50束の物が100個ぐらい入って稼働させるの(1500万×50×100=750億)。始め100本買いましょうと、いっぺんアレバから買えば次もアレバで買う。3ヶ月に一回は60本、100本と、それが40年間続くのよ。その利益の上がる核燃料をなにがなんでも日本が買ってくれなきゃ困るの。日本が買ってくれなくなったら、アレバにとっては首を絞められたと同じ事なの。その次の売り先はまだ完成してないノルウェーの新しくできる原発。あるいは中国に二基ある。それらは稼働できるか不安定。日本は安定供給されて売れる。日本には何基あるの?1500万かける・・・。スゴイお金でしょ。(750億×54基=約4兆円)。アレバの巨大産業の巨大利益は日本から得ているの。
【フランスの再生可能エネルギー】
◆フラマーベルに2007年からフランス最大規模の原発(EPR)造っていたけど、うまくいきそうにないと解ったの。もしこれが全部ダメになったらどうしようと。そしたら早いよね、その年のうちにアレバリニューアルという再生可能エネルギー部門の会社を作っちゃったの。そこに風力発電部門、太陽光発電部門、バイオマス発電部門、水素エネルギー蓄電部門の4つの部署を造ったの。
【フランス一のソーラーパネル】
フランス一の太陽光発電ができた(2011年秋)と言う事があって、見に行こうと、村長さんに申し込んだら、いつでもいらっしゃいって。場所は南フランスのコートダジュールに近いパリから2時間半ぐらいの所。地中海から北に10Kmぐらいの丘陵地帯。レ・メ(Les Mees)というところ。太陽光発電所を造りたい個人、企業、自治体と、どれでもいいから計画案を出して応募して下さいと。3分の一ずつでお金も出し合うようなやり方です。レ・メはラベンダーで儲けていたんだけど安くなってどうしようもないと。その丘陵の土地をもっている人はたった3軒しかいなかった。最初は丘陵だから風が吹くから風力発電をしましょうと言って沢山の企業が調査に行った。ところが風力発電の建設のためには事前の環境調査が大変。つまり50m以上の鉄塔建てる為の地盤はどうなっているのかとか。音はどうなのかとか。5年経っても回答は出なかった。そんな時この村長さんのところに太陽光のエネルギー会社(Enfinity社)の社長さんがきて、「太陽光パネルなら地盤調査しなくていい」と。つまり置くだけだから。「今ラベンダーの畑になっているところにコンクリートは打ちません。25年後に杭を抜いて元通り畑ができるように作りましょう」と。しかも「うねりのある地形も変えません。そのまま畑に戻して使えます」とその様な約束をして25年間の契約をすることになった。村はソーラーパネルの会社に賃貸料を払い、電気会社には電気を売って儲けると言うことになった。さらには村はソーラーパネルの固定資産税もはいって収入になる。
そこの頂上に登ってワァーとした。見渡す限りのソーラーパネル。これは建設期間が8ヶ月。これ見て、フクシマの汚染されてどうしようもないところにこれ造るのに8ヶ月しかかからないと思ったの。日本に帰ってきて、すぐ福島県知事に嘆願書出したのよ。電気産業として8ヶ月後には充分成り立つじゃないですかと。これに対して東電がNOと言うわけ無いと思った。今あなたの県にはプラスしかないのよと伝えたかった。でもダメなのよ。私も知人いたんで知事の机の上にちゃんと置いてもらうよう頼んだのよ。だけどこんなに高く書類が積まれていてねぇ。
8ヶ月でできちゃうの。100メガワット。小さい原発1基分です。(ソーラーパネル20万枚、東京ドーム7個分の総面積)日本では広大な土地使ってどうする、原発は小さなところでできるとか言うけど、違うんだよ。これは25年後だって杭抜いて片付ければもういっぺん農地になるのよ。それが価値なのよ。原発造ったところはもう永遠に農地にはならないのよ。
ここはずっと先に鉄塔が一つだけ。電線もほとんど地下に埋めて景観にほとんど影響が無いの。
面白いのはね、パネルの下にはわざわざ雑草を植えたの。春から夏までどうぞ羊の放牧して下さいって。
村には税金が入る。しかもフクシマのように放射能事故を起こさない。
【画期的なソーラーパネルの管理】
さらに言えばソーラー発電は人手がかからないってこと。原発は(温度管理や汚染水)管理に大変。風力も50mも登って管理して、しかも音が心配。太陽光は放っておけばいいのよ。メンテナンスは2週間に一回ぐらい。ガラスの上を掃除するくらいで現地の人やとえばいいのよ。このソーラーを造った会社ね、ベルギーの小さな再生可能エネルギーに特化した会社なの。本拠のベルギーからパソコンで管理してるの。なんかあったら電話で現地に電話してみてもらう。ブリュッセル(ベルギー)に居ながらにしてこことスペインとアメリカの太陽光発電所を管理しているの。つまり、インターネットさえあれば現地に人を一杯おいておくこともないのよ。それがこの発電所の利点。
【パネルはどこから】
この20万枚のソーラーパネルはどこの物?安くていい物っていったら中国製ですよ。ホントに安いの。品質は?シーメンスの技術が入ってます。シーメンスが資本出してとてつもなく大きな工場で延々と、このソーラーパネルが作りだされているの。品質は落ちるわけ無いの!
アメリカのパネル会社も潰れる。フランスのパネル会社も潰れる。どんどん潰れていったの。で、中国憎しになったんだけど、非難が来たときに中国はさっさとヨーロッパに製造工場を持って行きましょうかと来たのよ。私達は人件費で安いんじゃないんだよと。つまり広大な安い土地があったからできた。ヨーロッパでは無理。ヨーロッパに行きましょうかと言われたら、ちょっと待って下さいなとなったの。でもその次には関税を上げてもいいですかとなったの。中国はでは?一部ヨーロッパ産の部品が入っていたら関税はどうですか?とか微細に渡るネゴシエーションしたのよ。ちょっと遠い中国は2割ほど高くついても安いので、ヨーロッパにもアメリカにもそうやって輸出してんの。シーメンスの人と話したんだけど、中国のパネルによって値段は3分の1になったのと。だから少ない資本で立派な発電所ができる事はヨーロッパにとってこんないいこと無いじゃないの。たとえ電気料金が下がったとしても施工費が安くなればいいのよ。ヨーロッパの人は何の損失もないよ、どんどん中国のパネルを輸入して電気をつくった方が原発使うよりいいよと。
日本でもそれやればいいのよね。だけど調べたらなんと情けない。国産を優先します。関税がバカ高い。日本のソーラーパネルメーカーと同じ価格になる様に中国産に関税かけちゃうの。3分の1の価格でできちゃうのに3倍にしてるの!
【ベルギーの太陽のトンネル?】
ベルギーの高速鉄道です。トンネルの中を走っています。両側は国立公園です。新しく高速道路ができたときに鉄道も造ることになったが、あのエネルギー会社アンフィニティー(Enfinity)が「自然保護区域の木が倒れてきたりしても大丈夫なようにトンネルにするのがイイネ」と。「トンネルならばそこに太陽光パネル貼り付けようよ。トンネルを発電所にしよう。その電気で電車を走らせよう」と提案した。最初は小さな電気でそんなことをとバカにされたそうです。でも今までの電車は遠くの発電所から電線を伝わってきた電気を使っていたが、それは3割4割もロスしていたの。これは直に線路に電気流すから損失ゼロ。25Kmのうち3.4Kmが発電所。でもベルギーなんて北の国で日照時間も少なくてダメだと言われていたのよ。だけど2割以上も余計に発電して走っているの。25km区間の高速電車がソーラーで動いちゃうの。ベルギーは海外に大きくアピールできたの。(1万6千枚(5万平方メートル)の中国製太陽光発電パネル使用。2011年6月6日開通。工期は1年未満。3300メガワット)
アンフィニティー(Enfinity)は5年で世界の3大太陽光企画会社になったの。
【ドイツは北の電気を?】
ベルギーのトンネル発電を見て、ドイツでは北の沿岸の風力発電で、余った電気を南に送るために電線が足らなかったのを「そうだ電車の電線を使えばいいじゃないか」と。何のインフラも造らずにドイツでは北の電気を南に送ることができるようになったの。知恵ですね。(以上90分)
-休憩15分-
【フランス一を更新した米軍基地跡地】
これはドゴールが嫌っと言ったアメリカ軍のトゥル・ロジエール空軍基地 です。ジェット機があるところだったので土地は化学薬品で汚れているの。だから土地は何の役にも立たない。何十年間と放っておいたの。フランスの北、ドイツとの国境地帯にあるの。東ドイツとその向こうのソビエトに核弾頭ミサイルを向けていたの。3.11のあとよ。工期18ヶ月ほどで原発2基分の太陽光発電所ができたの。(トウル・ロジエール発電所。2012年4月に工事完了。367ヘクタールに170万枚のパネル)沖縄の米軍基地もすればいいのよ。
【続々と進む再生可能エネルギーの街】
次は このすぐそばに原発があるところですが太陽光パネルと風車の発電のハイブリッドで2000戸分の発電。夜は発電しない太陽光とバランスを取って風車がある。
これはパリの北の方(ザック・パジョール)に昔の国鉄の貨物列車の空き地を再開発したところ。日本なら商用ビルを造るところを、エコロジーに関心のあるドラノエ市長がパリで最大のソーラー発電にしようと、しかもその下にはユースホステルを造ろうよと。昔の施設に太陽光パネルを敷き詰めた。ここには300人の子供達が止まれるの。比較的安いから家族連れでやってくる。近くで買い物して、料理は台所も貸してもらえる。
発電した電気はそのまま電力会社に売ってパリ市の収入になるの。パリ市が運営している発電所なの。施設の空調だけど、電気を使った物はないの。地下深く掘って、その安定した温度の所に風を送ってあげれば暑いときは涼しい風として送れる。冬も冷たい空気を送ると暖かくなって出てくる。ほとんど電気は使わないで空調ができるの。とても静かなの。この施設で寂れていたこの地区がきれいに、にぎやかになったの。
これは南の所にあるリヨンの街で再開発が始まって、エコシティにするんです。莫大なお金をつぎ込んでいるの。5,6年目。日本の資本東芝が入ってスマートグリッドをやっているの。東芝はホントはエネルギーを売りたいんですよ。この中に事務所もあるの。このビルで使う電気は外からの電気より(壁のパネルの)太陽光発電の方が大きいの。
【太陽熱発電】
次はアレバですがその最先端技術の太陽熱発電。これは鏡に太陽光を受けて一本の管に集めて、その中のオイルを400度までになって、これでお湯を沸かして発電するシステムなの。手間とお金がかかるけどこの開発した技術でアメリカに今造って、利益を上げようとしている。つまりぼくたちアレバは自分たちで蓄積した技術で今まで原発でお湯を沸かしていたのと同じに、これで沸かして発電する。アレバリニューアルでは太陽パネル発電はやってないの。アレバはパネルとか風力とか必要な技術は他の会社を買収して進めるけど、これだけは余所から買う技術ではなくやってるの。必死で素晴らしいと宣伝してますが、私は成功するとは思わない。コントロールが難しすぎる。
【水素が新しいエネルギー】
つぎ、これ。再生可能エネルギーで困るのは発電が不安定だと言う事。太陽が当たっているとか風があるときとか。その不安定を安定にするのはたったひとつ「蓄電」。蓄電ができれば、ためておいて必要なときに出して使う。フランスではそれを必死になって研究してます。水素がキーワードです。コルシカ島で(次世代型発蓄送電システムの実証実験施設「MYRTE」)やってます。太陽光パネルがあって発電し、その電気を使って「水」を電気分解する。H2OをHとOに分ける。その水素をどの形で貯めるか。ひとつは吸着剤のような形に吸わせて固めておく方法。もうひとつは(冷却液化保存?)。どのくらい安定して貯めることができるかを実験している最中です。うまくいけば貯めてある水素を私達が今まで使っているガスに混ぜれば、最高いエネルギーが出せる。自動車のエンジンも動かせるの。家庭で火も使えて、車も動かせるの。水はどこにでも有るし。
しかし水素というのは爆発するかも知れないし、貯めておくのが難しいけど、これが解決すればいいですね。
これが成功したら、ひとつの街を造って熱源も電気もその中でやってしまう計画。
【エネルギーに国境は無い】
ヨーロッパはその中だけでユニットを考えている。着々と進行中です。ここはアブダビです。やはり2007年に始まっている。つまり原発はダメだと解ったので既に2007年に進行しているの。産油国でもいずれは石油に頼ってられなくなるぞと言うことなの。いま金があるうちに再生可能エネルギーだけで機能する都市を造ろうという計画なの。太陽光パネル、水素ガス蓄電、風力。それらを使って最終的には100万人の都市を造ろうという計画。
でもねぇこれ聞いていて何かくさいと思ったの。誰が考えた計画?どの資本が入っているの?これはイギリスの資本が入って、ドイツの銀行を巻き込んで、フランスを巻き込もうとしたんだけど、フランスはちょっと待てよって。アレバは余り協力的では無いの。ホントは2013年にこの街が活動し始めるはずが、ヨーロッパの投資家のお金を半分以上待っていたけど、うまく集まらなかった。エネルギー研究施設も多く造り、アメリカの大学もここに入れる考えだった。そこに大学生を呼び込んでって考えていたけど、集まらなかったの。だって、誰がこんな砂漠の中で暮らしたい?熱い寒いが激しいところに、川も緑も無いところに暮らしたいと思いますか?でしょ! で、頓挫してます。まぁ2025年までには何とかなりそうだとは言われてますが、どうか。
でも、ここで発電された電気をジブラルタル海峡の下を海底ケーブルでつないで運べば、ヨーロッパで使う電気の13%はまかなえるらしい。だからこの計画も捨てられては居ないようです。エネルギーは一国での考えでは無くて余っているところから必要な国へと言うのがヨーロッパ社会の考え方なの。国境はあるけど電線はつながっていると言う事。国を超えるところに電気の貸し借りの計器を置いておいて決算していこうかという計画が進みつつあるの。ドイツはどこから電気を買おうが自由なの。私達は東電からしか買えない。一番安い電気を買うことができる。ベルギーでは余所の国の電気が安くて国内の2社が潰れたと言うこともあるの。それでもそんな自由に買える国と全く自由に買えない日本とでは大きな差があるの。だからアフリカのサンサンと輝く太陽をヨーロッパの人は利用しようと考えるわけ。石油搾取の次は太陽搾取かと言われるけど、このアブダビの計画も多くのネゴシレーションをして進められる。
実はこの電気を中国シベリアなどをとおって極東へと言うことも可能で、もしそれが進めばその頂点には(ソフトバンクの)孫さんが居る。
以上グローバルに合理的に電気を見ることも必要。しかし最大の私達の武器は電気を使わないことです。
(以上1時間54分)
質疑応答
質「送電が長いとロスがあると言われます。グローバルと言うときにその辺はどうでしょうか?」
竹原さん「考え方はできるだけまとまったところに住んで、その周りに発電所があるという形に変わりつつあります。ただ、余った電気についてのやり場として国を超えてでも送電すると言う事。
東京-福島なんて有り得ない。3割は消えるんだよ。私は水力、風力、バイオマス、太陽光の4つで小さなコミュニティを賄っていく形を提唱したい。フライブルグでは5mも無い水車が幅50センチも無いような川に設置してあるの。これ一個で300戸の家の電気よ! ただし家の壁は最低で40センチです。あまり電気も使わないで暖房もできる。」
質「フランスの人はどのくらいの割合で脱原発を考えているのでしょうか?」
竹原さん「とても難しい質問なの。6が推進派。4が反対。ただし、ふところ勘定。思想と財布で違う。だけど知ってるデモで言うとスゴイ激しい。プロコフ半島の原発ができたときには幼稚園の子供まで村のひとり残らずが反対していた。漁師達が海を汚すなと言って大反対したの。あまりにも激しくて、記録映画になって、去年は漫画になったの。それは若い人達にも伝えないといけないと漫画で発刊したんです。
ミッテランが首相の時、選挙に勝つまでは反原発だったの。ミッテランが勝った日にプロコフの人達はテレビで見ていて喜んだ。しかし、ミッテランはすぐ閣僚に言ったの『プロコフはあきらめましょう。しかしその次の原発は推進します』って。右の手は財布、左手に哲学書なのよ。
ライン川沿いの最新の原発があるフッセンハイムの向こう側にドイツのフライブルグがある。フッセンハイムがあるからこそドイツでは自然エネルギーを考え、排気ガスを考えエコロジカルな街を唱えたの。そのぐらいドイツに訴えられてもフランスはやめるとは言わず怪しいの。だけど再生可能エネルギーがうまく行けばさっさとやめる国よ。」
質『日本は原発やめる?』
竹原さん「三菱重工とアレバが何でいっしょになっているかというと、フランスはばかでかいEPRと言う原発を造っていたけど不備があってうまくいかなかった。当時三菱重工は小型の原発を造っていて、アレバはその図面が欲しかったけど、そんなことできない。で、共同会社を造ってうまく技術を手に入れるの。有り難うって言えよ! 2007年、日本の企業はさらにウラン鉱山で投資した。でもウランなんて始めても10年しないと儲けがでてこないの。その10年しないうちに3.11を迎えたわけ。だから利益がないうちにやめるわけ行かない。採掘したウランから日本製の核燃料棒を造って、売り先を見つけて、それで稼ぐまでは奴らはやめたくないの。私の推測だけど、かなり外国からの大きな金が動いていると思うの。(三菱、東芝、日立へ)投資した資本家がやめさせたくないの。だから(大きな圧力もあって)首相も原発を売り歩くの。元本が取り戻せるまで止まらない、その仕組みに日本中が埋まっているの。だから止めることはそんなに簡単なことではない。誰かがそのお金を諦めてと言えないといけないの。もしくは諦めるには、もう一回事故を起こすか?」
(客席から「それはやだ」)「事故起これば絶対世界中でやめるでしょうけどその前にねぇ。三井三菱住友日立を束ねている圧力団体、つまり原発村ね。学者は当てにならない。絶対信用してはいけない。良心はどこにあるの?日本のために働いているの?と聞きたい。汚点を残したくないのね。でも将来、あなたが原発を止めてくれたのねと一生の勲章だよと誇りに思えるようにしてあげないといけないね。男のメンツだものね。良心を呼び戻すような策が必要だと思う。
質「アメリカがプルトニウムを返せという報道があった。日米原子力協定の中で期限が切れると言う事。そのプルトニウムの戦略としての意味は?」
答「アメリカとの関係はものすごく微妙なの。プルトニウムは燃料にもなるけど爆弾よ。国にプルトニウムが何トン有るかでその国がどのくらい強いかになる。威嚇だよね。だから日本はプルトニウムゼロですというわけにいかない。日本にありすぎるとアメリカにとっては目の上のたんこぶ。
あっ角栄がフランスと核燃料の契約したときに彼の身に何が起こったと思う?アメリカから彼の不正の書類が出てきたの。そう、ロッキードの資料(ピーナッツ)。あの角栄を殺せと。アメリカの利益が無くなるじゃないか!とアメリカはあのとき頭にきたのよ。それで角栄は去ることになるの。日本の政治にとって不幸なの。アメリカにたてつくと大変なことになると。中国の航空識別圏の時にも、安倍があんなにオロオロするのは彼の横にいた参謀がアメリカと連絡してるの。彼の言う事を聞いてアメリカの意向で安倍は行動してるのよ。
ウラニウムの件もアメリカとの最初の契約の時に日本には保有量何トンと決まっていたのよ。それ以上はアメリカにお返しすることになっていたの。アメリカからウラニウムを買って、利用したらプルトニウムができるけど、それは借り物なの。借りたんだから返すのが当たり前とアメリカは思っているの。今も契約の中にいるから返す義務があるの。3.11で面白いことがあった。廃炉のお手伝いがしたいとアメリカが言ってきた。いよいよフランスとアメリカの日本を挟んだつばぜり合いが始まったなと。フランスは日本で稼ぎたいから汚染水はやらせてと。アメリカは廃炉をと。そこで小泉。日立三菱東芝の人達とオンカロに見に行った。小泉は核廃棄物はどうしようもないから日本は脱原発だと叫んだでしょ。あれとぴしゃっとあうの。つまり推論だけどアメリカが廃炉事業をやりたいと裏で知って、小泉が脱原発をと言ったと言う事。アメリカはどっちにしろ儲かるじゃん。原発造って儲けるか、核燃料売って儲けるかと比べたら、廃炉の方が正義じゃん。安倍もアメリカ向いているし、小泉もアメリカを向いている。
質「日本にはまだ日本で造られたプルトニウムは何十トンかありますよね? それについてはアメリカは何も言わないのでしょうか?」
竹原さん「ものすごく大量にあります。三百トンぐらいある。単なる脅かしじゃぁない。それ以上の物はイランにもあるしイスラエルにもある。原子力爆弾の材料でしょ。
質「日本のプルトニウムは濃縮はできていないのでは?濃縮しないと核弾頭はできないし」
竹原さん「できてないと信じる? してます。私の同級生の世代は一番原発で活躍した世代なの、そのひとりが原子力村のひとりなんだけど奴がいうことにゃ『有ります濃縮して』です。大部分は東海村です。あとはそれぞれの企業の中です。」
声「ぞっとするねぇ」
質「今後の脱原発のアドバイスを」
竹原さん「可能性のあるやり方。コミュニティの中で自家発電して下さい。こっちの村もあっちの村も東電の電気頼らずに電気ってできるね、不便ないよと証明すること。一番最初にやることはリフォームして断熱強化。年間1㎡当たり50kカロリーにするんだって。フランスもアパートで三分の一にエネルギーを減らすとやっている。三分の一に。日本も暖房冷房を節減して、自家発電を。バイオマスも太陽光ならすぐできる。豚の糞尿と草木や農作物の廃棄物でエネルギーー造っている。これでできるよと提案が必要。ポジティブに解決するには必要。家庭用でも小さい風車で能力が高くていいのがある。それで足らしている。みんながそうやればできる」
質「小水力の発電所をいっぱい造るとか。やってみましょうとおもいます。秩父市ではバイオマスも造って、セメント工場の跡地に大規模のものを造ろうとしてますが、街中に工場はどうかと」
答「ドイツのバイオマスは大きな煙突もないし、糞尿処理のお助けになる。生ゴミ含め廃物利用なのよ。」
声「埼玉富士では水力発電の素晴らしい物がある。福島では波力発電を始めようとしてます。是非地元の企業ですので応援を」
竹原さん「ひとえにこんな日本を子供に残してはいけないと言うことです。」(拍手にて終了。以上全2時間30分)